タイガはティガから戦い方を学ぶために、ティガの任務に同行していた。
二人のダブル旋風脚がダイナミック。
タイガとティガが怪獣の鳴き声を追って去ったあと、宇宙人が現れる。
お姉さんに「ウルトラマンと待ち合わせをしているんだ」という宇宙人。
そこに現れたのはトレギアだった。
密談する宇宙人とトレギア。
「心を惑わし、闇に引きずり込むことにおいて、あなたの右に出るものはいない」
と評する宇宙人。
トレギアはティガを、宇宙人はタイガを相手にしようと相談する二人。
不思議な組み合わせだけど、トレギアの能力を考えてなるほど~と納得した。
「あの頃のティガを、もう一度……」
呟いて去っていく宇宙人。
「ティガ……飛ぶスピード速すぎ……。疲れた~!」と、ふらつきながらそのあとを追ってくるタイガ。
ヤンキー座りでぜえはあしてるのがかわいい。
「これくらいで音を上げるとはな。体力面に問題ありとタロウに報告しなくては」
ティガに言われて、慌てて立ち上がって誤魔化すタイガ。
「ぜーんぜん余裕っす! よっしゃ、レッツ怪獣退治だ。バディーゴー!」
タイガのまだ青臭くて子供っぽい面が出ていて好きなやりとり。
タイガの背中を支えにしたティガの跳び蹴りの美しさ。
ドヤ顔するタイガ。その後ろでやれやれと腕組んでるティガ。
「それどころじゃないんですよー!」と慌てるお姉さんに、
「どうしたんだよ、機嫌でも悪いのか?」と素で言っちゃうタイガのデリカシーのなさ。
そこに現れるトレギアと宇宙人。
次々と現れる怪獣たちは、ティガとタイガをおびき寄せるための餌だったと種明かしをするトレギア。
「僕はあなたを神としてあがめる種族の末裔なのです」
とティガに告げる宇宙人。
しかし、信奉しているのは今のティガではなく、闇の頂点に君臨するティガダークだと言う。
宇宙人の先祖は、ティガダークが世界を滅ぼすために鍛え上げた闇の戦士だった。
その末裔としてティガの闇の力を受け継いだ宇宙人。
しかし、現代によみがえったティガが光の戦士に寝返ったことにより、、ティガへの信仰心や過酷な修行は不意になってしまった。
「僕は一族の神をとりもどす。
さあ。共に行きましょう、我らの神よ」
「それでは早速いってみようか」
高笑いをして、怪獣を呼び寄せるトレギア。
トレギアの作戦通り、トレギアとティガ、宇宙人・怪獣とタイガの二組に分断されてしまう。
二体一のタイガの苦戦あと、トレギアとティガの戦い。
ティガのBGMをバックにしたトレギアの長広舌と、熟練の戦士ふたりの戦いに見入った。
なぜ宇宙人と手を組んだのかとトレギアに尋ねるティガ。
「私が一番興味がある研究テーマは光と闇。表裏一体の性質でありながら絶対に分かり合えない存在。
彼は君が闇に戻ることを望んでいる。私も見てみたいのさ、光のものが闇に堕ちるさまを」
「私は二度と闇の姿には戻らない」
断固というティガ。
その心をかき乱そうとするトレギア。
「ティガ、そんな勝手が許されると?
あの宇宙人は君のせいでつらく苦しい日々を乗り越えなければならない。
君の存在を知って、いつまでもいつまでも……。
君の責任じゃあないのかい?」
歌うように朗々と、ティガの心を責め立てるトレギアの台詞にゾクゾクした。
「どうしたティガ。拳に迷いが感じられるぞ」
トレギアに攻撃するも、心に生じた迷いがティガの拳を鈍らせる。
ティガの拳を掴んで、わざと顔を近づけて視線で舐めるようにして嘲笑うトレギアのいやらしさ。
「……わたしは」
「美しいねえ、悩み、迷うがいい。それが生命の本質。
俄然君が興味が湧いてきたよ
もっと君という生命を見せてくれたまえ」
タイガの悲鳴にティガを気を取られた隙を突き、背後から攻撃しようとするトレギア。
「私の闇を注ぎ込んであげるよ」
「言ったはずだ、わたしは二度と闇には染まらない」
トレギアにゼロ距離から光線を撃ちこむティガ。
タイガは怪獣と宇宙人に圧されていた。
助けに現れたティガを見て、トレギアがしくじったことを悟る宇宙人。
宇宙人は自分の手でティガを闇に戻そうとする。
「あなたを傷つけたくないですが、力づくでこちらに来てもらいます」
ティガに襲い掛かる宇宙人。
拳で対抗しようとしたティガは、自分の拳をハッと見つめて攻撃の手を緩めてしまう。
ティガが抵抗しないのを察した宇宙人が、腹に膝蹴りをしたり頭を蹴りあげたりして攻め手を激しくする場面。
俯くティガの顔を軽く蹴って前を向かせてから、蹴り上げる攻撃に憎しみがこもってて鳥肌たった。
ティガを神とあがめるからこそ、不甲斐ない今の姿に憎しみが募る、愛憎のすさまじさというか。
「ティガ。僕はあなたがすべてだった。闇のあなたの存在が。だけど、残酷で無情なあなたはもう存在しないのですね」
ティガを殴り飛ばす宇宙人。
「君が過去にとらわれているのは私のせいだ。すまない。
私にできることは君の中の闇を消し去ること。
君の中の希望に私がなれるのなら、私は何でもしよう」
立ち上がり、宇宙人に切々と伝えるティガ。
「そんな言葉はいらない。消えろ!」
宇宙人はティガの説得に逆上して、ティガとタイガに攻撃する。
「やった、やったぞ。僕はやったんだ。僕はティガを越えたんだ!」
声を裏返らせて喜ぶ宇宙人に、ティガが語りかける。
「私は君にも見せたい。私が降れた光を、世界を。私が望んだ未来を。
私たちが君の中の闇を消し去る」
会場のみんなの力を貸してほしいとお姉さんに伝えるティガ。
会場の声援で光をとりもどしたティガとタイガを見て、動揺する宇宙人。
「きみに真っ向から向き合おう。今の私として」
ティガが宇宙人にそう語りかけて、最後の戦いに突入する。
まずはタイガと怪獣の戦い。
怪獣の動きを観察しながらの緩急のついた戦いがかっこいい。
飛び足が綺麗な跳び蹴りがかっこよすぎる。
ティガと宇宙人の一騎打ち。
宇宙人を傷つけまいと、投げ技や手刀メインでも宇宙人を圧倒するティガの気迫がすごい。
「とどめを刺してください、僕はもう進む道を見失っている……」
ティガの回し蹴りを受けて、ダメージで床に座り込む宇宙人。
「君の未来を私が歪めてしまった。本当にすまない。
私も変わった。光に触れ、変わりたいと望んだのだ。
もちろん、過去も背負って生きていく。
もし君が変わりたいと望むのなら、今度は傍で力にならせてほしい。未来を切り開くのは自分自身なのだ。
過去にとらわれず、そこから共に踏み出そう」
宇宙人を見つめがら、肩を抱き、しっかりと手を握って語りかけるティガの心からの説得に胸が熱くなる。
「俺たちもいつでも力になるから」
と励ますタイガ。
「僕の進む道を閉ざしていたのは、僕自身だったんだ」
泣きそうな声で反省する宇宙人。
「これから先の未来を、共に歩んでいこう」
ティガにそう声を掛けられて、深々と頭を下げて去っていく宇宙人。
お別れの場面が印象的。
物語の黒幕だったトレギアとの因縁の戦いがまだ終わっていなかった。
袖から出てくるトレギアの壁を這うようなヌルッとした動き好きだった。
最後、ティガに「ティガの生きざま、胸に刻んでいきます!」というタイガが熱血かわいかった。
お客さんに「過去がどんなに暗くても、未来は自分自身で切り開くものだ」と諭してくれるティガの台詞が印象的。
タイガよりもティガのバックボーンに焦点を当て、さらにティガよりも彼を信奉する宇宙人をメインで描く少し変わった内容で、すごく思い出深いショー。
タイガ本編のテーマは出自に縛られた人生からの脱却だった。
本編を経て成長したタイガにはあえて触れず、出自に縛られて苦しんでいた宇宙人を中心に描くことで、タイガの成長と本編テーマの「出自は関係ない、自分は自分」をより強く感じられた。
宇宙人に応戦するティガがためらって拳を振り抜けなかったのがすごく印象的で 捨て身だから一切の躊躇いがない宇宙人の戦い方と対照的だった。
善美と正義を知ったことで、ある意味弱くなったティガが、その弱さを越えて真に強いものになったんだなと思った。